ウェットスーツ製造の命綱となるミシンがこのすくいミシンです。
針の形状からもわかる様に、このミシンは針を生地の裏まで貫通させずに表面をすくって縫うことができる工業用ミシンとなります。
パーツ同士をボンドで接着した後、このミシンで貫通させない様に縫うことでウェットスーツの防水性が保たれています。
昔は表と裏の両面をこのミシンで縫う作りも多かったのですが、両面を縫うと表と裏の糸がかち合って貫通するパターンがある為、最近では裏面は縫わない製法が主流になっている印象です。
意外とこのウェットスーツの縫製の仕組みを知らない方も多く、ご自身のウェットスーツの破損箇所や糸がほつれた箇所を手縫いで処置されている方がいらっしゃいますが、針を貫通させてしまうということはウェットスーツに穴を開けているのと同じなので、そこから浸水してしまいます。
ですので、糸がほつれた程度でも、しっかり工場に依頼して縫い直してもらう方が得策かと思います。
当然ウェットスーツラボでも承ります。
余談ですが、写真のすくいミシンのTONYというのは台湾の企業です。
TRESUREという日本の企業のすくいミシンが主流でしたが、工業用ミシンの需要減少の流れから設計図ごと台湾のTONYが買い取ったとのことです。
TONYという企業は元々TRESUREが後期には製造組み立てを全て委託していたらしく、台湾製とはいってもほぼほぼTRESUREのミシンと変わりません。
TRESURE時代のすくいミシンは当店も保有していますが、ある部分のバネが破損して今は置物になっています。
パーツが手に入れば直るのですが、国内で製造していない今は海外から取り寄せてもらうしかない状況です。
中々不便な時代ですが、藤沢駅そばにある藤沢ミシンさんの社長さんが工業用ミシンにも精通している方なので、いつもお世話になっています。
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